アーユルヴェーダについて

about-tag-02

アーユルヴェーダとは

紀元前8世紀頃のインド・ネパール地方で、バラモン教のベーダ経典から生命に関する知識を集大成することで生まれたアーユルヴェーダは、その後誕生したジャイナ教や仏教といった宗教と六派哲学が影響を与えながら医学体系として完成し、他国の医学や薬学などの要素も取り入れながら柔軟に折衷し、発展した健康科学です。

 

日本では、アーユルヴェーダはインドの伝承医療として認知されていますが、紀元前3世紀にスリランカに渡ったアーユルヴェーダは、固有の伝統医療とも混じり合いながら独自の発展を遂げた点でインドのものと少し異なります。 ここでは、スリランカのアーユルヴェーダの考え方をご紹介します。

アーユルヴェーダのイメージ画像

根本的な考え方

アーユルヴェーダは、サンスクリット語で「生命」を意味するアーユスと「真理・科学)」を意味するヴェーダを合わせた合成語で、生命科学を意味しています。

 

人々の病気治療や健康に関する領域に焦点が当てられ、実践されているように思われがちですが、人が病気になったとき、投薬や手術などの対症療法で治療するのではなく、本来の人間個人の「使命」そのものを見つめ直すことで、病気の元を断つという考え方が本来のアーユルヴェーダの考え方であり、人が健康で幸せに人生を全うするための智慧を説いている学問と言っても過言ではありません。

 

そして、人間は一人一人が異なったプラクリティ(体質)を持っていることから、個性を尊重するという考え方が根底にあります。自分の根本体質を知り、その弱点を知り、どんな環境の変化にも順応できるような免疫力の高い体質にする生き方にすることが健康と長生きの秘訣であるという考え方が基本となります。

トリ・グナ説について

アーユルヴェーダのイメージ画像

アーユルヴェーダの考え方では、トリグナという心に働きかける3つの属性のエネルギー「サットヴァ」「ラジャス」「タマス」と、身体にはドーシャという3つの性質のエネルギー「ヴァータ」「ピッタ」「カファ」が働きかけているとされています。「不純なもの」「病素」という意味もあります。また「グナ」と同じように、これら3つの「ドーシャ」を総称して「トリドーシャ」と呼んでいます。

 

あらゆる身体の現象の基礎にはこのドーシャの働きがあるとされ、日々の心身の状態や季節によってかわる体調の変化、また個々人によって差が出ることなど、これらのエネルギーによるものと考えられています。

 

アーユルヴェーダでは、これらの「ドーシャ」がバランスの取れている状態を健康と位置付け、そのバランスが崩れると健康を損なう状態になると考えます。各々のドーシャのバランスが保たれた状態において、身体としての構造が適切で、新陳代謝も適当に行われ、体内の循環も活性化され、その状態を身体が健康であるとしています。

体を構成する7つの組織(要素)

身体そのものを構成する7つの組織(要素)「ダートゥ」は身体のシステムや構造、機能を支え、身体の生命活動において基本とされる存在であり、これらは自然界の五大元素(空・風・火・水・地、マハーブータ・maha bhutas)によって構成され、五大元素に対応するドーシャもこれに依存関係があるとされます。ダートゥの乱れ(減少・増加・悪化)はドーシャのバランスを乱すことにもなり、結果として健康のバランスが崩れて病気を招くことに繋がります。

 

身体を構成する7つの要素「ダートゥ」は、体内に取り込まれた栄養が消化・代謝(アーユルヴェーダでは、この消化・代謝の働きを「アグニ」と呼ばれるエネルギーと定義しています)されることで組織の生成・活性化がなされますが、この消化・代謝の流れには順序があります。それゆえ各ダートゥ(組織)においては相関関係があり、ひとつのダートゥ(組織)の状態は、消化・代謝の流れの下位のダートゥ(組織)にも影響を及ぼすものと考えられています。

 

消化・代謝の働きをなす「アグニ(Agni)」は「消化・代謝の炎」とも呼ばれます。アーユルヴェーダにおける「消化」とは体内に取り込まれた食べ物(栄養)をエネルギーに変換し吸収することを意味するため、アグニは体内のあらゆる場所に存在するものと考えられています。 胃腸にある「ジャータラ・アグニ」、肝臓にある「ブータ・アグニ(五大元素の数だけ存在するとされ、5つあります)」、また7つのダートゥにもそれぞれにアグニが存在します。

3つの老廃物

アグニの作用する消化・代謝の過程において、その「炎」の燃焼から「燃えカス」としての老廃物が作り出され、これらをアーユルヴェーダでは「マラ(Mala)」と呼んでいます。

 

マラは大便・小便・汗など大きく3つあるとされますが、これ以外にも髪の毛や爪などもマラに分類されるため、マラは必ずしも「老廃物」という意味だけにとどまりません。「マラ(老廃物)=悪いもの」というわけではなく、消化の炎によって完全に燃え尽きたマラ(老廃物)が作り出される身体の状態はバランスが取れている状態と捉え、身体の健康状態のバロメーターとしています。

 

消化力の働きはドーシャ・バランスの状態に密接に影響を受けるものです。適切なヴァータの状態は、消化の炎「アグニ」を支えるピッタに働きかけ正常な消化を促し、十分に消化された栄養物は同化を司るカファによって血液・血漿、筋肉、脂肪、骨・骨髄、神経組織、生殖組織を始めとする様々な身体組織に構成されます。

 

一方、ドーシャのバランスが崩れ、たとえばヴァータが過剰に増大すると、消化に働きかけるピッタにも影響し、消化の炎「アグニ」は強すぎる状態となり食べ物の消化に偏りが起こります。 またヴァータが不安定になりピッタの働きにムラがある場合や、食べ過ぎによる過剰な量の食べ物が消化器官に送られた場合などにおいても、消化の炎「アグニ」は正しく働くことができなくなります。 これらの適切に消化されることのない食べ物は未消化物となり、身体においても栄養にはならず、体内で過剰に蓄積・吸収されてしまうと様々な病気を生み出す原因になるとされています(アーユルヴェーダではこれらの未消化物を「アーマ(ama)」と呼んでいます)。

 

不安定な消化力は、結果として質の悪い(未熟な)不適切な量の身体組織を生み、体重の増減も不安定なものとなり、さらには代謝力や免疫力の働きにも影響を及ぼし、老化のプロセスを早めることにも繋がると考えられています。

 

アーユルヴェーダでは、多くの病気が消化器系の不調から始まることも教示しており、身体に摂りいれる食べ物は体質に適したものを食べることや、十分な消化が行えるよう正しい調理を行うことをすすめています。

知識と技術を学ぶ

日本・スリランカ アーユルヴェーダスクールでは、アーユルヴェーダの基礎知識とリンパケアドレナージュの技術を中心とした本格スリランカスリランカアーユルヴェーダスクールです。

 

アドバンスコースでは一般の方への施術を行うカウンセリング技術の習得ができます。また、より深い理論と技術を学ぶための専門コースもご用意しております。

詳しくは学校案内をご覧ください。

スクールについて
column

スリランカに息づくアーユルヴェーダ

The pearl of the Indian ocean南アジアのインド亜大陸の南東にポーク海峡を隔てて位置するスリランカは、その自然の豊かさから「インド洋 の宝石」や「インド洋 の真珠」とも、またその歴史の悲しさから「インド洋の涙」とも呼ばれています。
歴史に裏づけされた豊かな伝統文化は、主に仏教とヒンドゥー教の影響を受けながら脈々と受け継がれてきました。
そのひとつが、世界三大伝統医学のひとつとして、インドで生まれ、スリランカに伝来した体系的な古代の健康科学『アーユルヴェーダ』です。アーユルヴェーダは、スリランカ固有の伝統医療との独自の文化に育まれて発展を遂げました。
その伝統を受け継ぎ、現在に息づくアーユルヴェーダは、国家資格として認められており、ただ単に伝統的な医療としてだけでなく、患者に心身ともに寄り添い、真摯に向きあうことを大切にするホスピタリティも大切にしています。